宗教の祟り

脇本平也さんの訃報が新聞に載っていた。享年87歳。

脇本さんの『宗教学入門』(講談社学術文庫)の巻末には、山折哲雄さんによる解説が収録されている。その解説の中で山折さんは、宗教学者は宗教を分析的に切り刻むので宗教の祟りによって寿命が短くなるというジンクスがあるが、脇本さんはそのジンクスを打ち破る第一走者である、と同業者の長寿を言祝いでいる。

もしも宗教の祟りというものが本当にあるとするならば、その犠牲となるべきなのは、宗教学者ではなく、自分が信じているものとは異なる宗教を敵視する人々であろう。