哲学者としてのトマス・アクィナス

トマス・アクィナスの言葉が新聞に載ってて、ちょっとびっくりしました。ただし、記事ではなくて広告ですが。

2008年11月21日付の朝日新聞の第2面に、『哲学の歴史』という哲学史の叢書(全12巻+別巻1巻)を紹介する中央公論新社の広告が掲載されているのですが、その中で、エピクロストマス・アクィナスミシェル・フーコーハイデガーヴォルテールという5人の哲学者の言葉が紹介されています。そのうち、エピクロストマス・アクィナスヴォルテールは肖像つきです。

紹介されているトマスの言葉は、「神学大全」第1部第1問題第8項第2異論解答にある次の一節。

恩寵は自然を破壊せず、完成する。

うーん。哲学史を彩る5人の哲学者の一人としてトマスが選ばれたことはうれしいけれど、トマスの膨大な言葉の中からこれが選ばれた理由が不可解です。この言葉を発しているのは、どちらかと言えば、哲学者としてのトマスではなくて神学者としてのトマスですよね。個人的には、哲学者としてのトマスが発した言葉を紹介してほしかったと思います。