「五大記」第二十八話を公開しました

五大記」の第二十八話を公開しました。タイトルは「膨張」です。

豊臣秀吉が、「一番大きな歌を詠んだ者に褒美をやろう」と言って家臣に歌を詠ませたとき、一番を取ったのは曽呂利新左衛門の次のような歌でした。

須弥山に掛けたる人を呑む人を鼻毛の先で吹き飛ばしけり

私が「五大記」を書き始めた当初、私の念頭にあったのは曽呂利新左衛門のこの歌でした。この歌のような、スケールの大きな法螺話を書きたいと思っていたのです。しかし、最近の「五大記」は、当初の意図とは少し異なる方向へ向かっています。現在の方向も、決して面白くないわけではありませんので、もうしばらくはこの方向で進んでいきたいと思っているのですが、時には当初の意図に基づいた話も混ぜていきたいと思っています。そのようなわけで、「五大記」第二十八話は、「スケールの大きな法螺話」という当初の意図を反映した物語となっております。