縁結びの神様を求めて:岐阜編

日本全国の非モテの皆様に縁結びの神様をご紹介する「縁結びの神様を求めて」シリーズ。今回はその第六回といたしまして、岐阜県美濃市須原に鎮座する洲原神社(すはらじんじゃ)という神社にいらっしゃる縁結びの神様をご紹介したいと思います。

洲原神社の最寄駅は長良川鉄道の洲原駅です。駅と長良川の間を通っている国道156号線を北へ500mほど歩くと、神社に到着します。

国道から分岐した道は神社の正面ではなく側面に続いています。神社の正面には石段があるのですが、その石段を下っていった先に道路はなく、ただ長良川が流れているだけです。おそらく、鉄道や道路が整備される以前の時代には、船が洲原神社に参拝するための主要な交通手段だったのでしょう。

洲原神社は養老五年(721年)に創建された神社で、主祭神伊邪那岐命(いざなぎのみこと)、伊邪那美命(いざなみのみこと)、大穴牟遅命(おおなむちのみこと)の三柱です。

主祭神の三柱も縁結びにご利益のある神様ですが、私がここでご紹介したいのは彼らではありません。この神社の境内には「夫婦檜」と呼ばれる二株のヒノキが聳えています。私がご紹介したい縁結びの神様は、このヒノキのご夫婦です。

洲原神社の公式ウェブサイトは、夫婦檜について次のように説明しています。

当神社楼門西側境内(広場)に聳える二本の桧は夫婦桧(男桧・女桧)で縁結びの神木と言われ、男性は女桧を女性は男桧を夫々抱きかかえ願うことにより、良縁に恵まれると言われています。

境内に縁結びの御神木がある神社というのは全国各地に無数にありますが、その御神木に対してどのように良縁を祈願すればいいのか、という祈願のスタイルについては、それぞれの神社ごとにさまざまなバリエーションがあるようです。たとえば、このシリーズの第五回でご紹介した、熊本市の北岡神社の境内にいらっしゃる夫婦楠の場合は、雄楠と雌楠の周囲を、男性は雌から雄へという順番で、女性は雄から雌へという順番で、8の字を描くように廻ったのち、夫婦楠から離れて、本殿に向かって良縁を祈願する、という独自のスタイルが採用されています。洲原神社の夫婦檜が採用している、男性は女檜を、女性は男檜を抱きかかえて良縁を祈願するというスタイルも、かなりユニークです。

御神木を抱きかかえて良縁を祈願するというのは、もしも他人が見ているとすれば、恥ずかしくて思わず躊躇してしまいそうです。しかし、洲原神社の御神木を抱きかかえているところを他人に見られる心配は、ほとんどありません。なぜなら、洲原神社は市街地から十分に離れた場所に鎮座しているからです。初詣でや川遊びの季節を避ければ、誰にも見られることなく御神木を抱きかかえることは、それほど困難ではないと思われます。私がこの神社に参拝したのは12月26日のことでしたが、私が境内をうろうろしている間、参拝に訪れた人は一人もいませんでした。

須原神社の夫婦檜に限らず、日本の神社仏閣のうちには、身体的な接触を伴う祈願のスタイルが採用されている霊的な物体が存在しているところが少なくありません。たとえば、お寺にいらっしゃる賓頭盧尊者びんずるそんじゃ)、天神様のお使いをしている撫で牛、通天閣ビリケンさんなどへの祈願は、そのようなスタイルです。私は、このような身体的接触を伴う祈願のスタイルというのは、祈願の手応えを皮膚感覚で確認することができるという点で、非常に好ましいものだと思います。ですので、これからは、御神木に何かを祈願するときは、もしも祈願のスタイルが明示されていないならば、洲原神社の夫婦檜にならって、それを抱きかかえて祈願するというスタイルを採用したいと思います(ただし、誰も見ていない場合に限ります)。