「五大記」第四十一話を公開しました

五大記」の第四十一話を公開しました。タイトルは「軍事裁判」です。

第二次世界大戦において日本が無条件降伏したのち、日本の戦争指導者たちの多くは、連合国によって戦争犯罪者として起訴され、死刑の判決を下されました。しかし、昭和天皇は、戦争指導者の一人だったにもかかわらず、起訴されずに天寿を全うしました。その理由としてはさまざまなものがあったのでしょうが、神としての昭和天皇の能力を連合国の人々が恐れたということも、その理由の一つだったかもしれません。「もしも、天皇が神だというのが本当であり、彼の能力がYHWHさえも凌駕するものだったならば、彼を処刑することは連合国にとって大いなる災厄を招くことになる」と考えた人が連合国の中にいたということは、十分にあり得ることです。

日本という国は、明治維新から第二次世界大戦の敗戦まで、国家神道という宗教によって国民を精神的に支配していました。国家神道は、もちろん政府が創作したフィクションにすぎません。しかし、「もしも、国家神道がフィクションではなく真実であって、天皇が本当に神だったならば……」という仮定は、私のような神話作家にとって、妄想の喚起力がきわめて高いものと言えるでしょう。国家神道が真実であり、天皇の能力が創造主さえも凌駕するような世界において、軍事裁判の結果として天皇が処刑されたとするならば、そののち、いったい何が起きるのでしょうか。

「五大記」第四十一話は、一言で言えば、昭和天皇YHWHを討伐する物語です。ただし、この物語の舞台は地球ではない架空の惑星ですので、昭和天皇はミゲタスという名前で、YHWHはラゼムという名前で呼ばれています。