「五大記」第五十四話を公開しました

五大記」の第五十四話を公開しました。タイトルは「石棺」です。

「五大記」には、現実の世界に存在する宗教によく似た宗教が登場する物語が少なからず含まれています。それらの宗教のうちで最も頻繁に登場するのは、おそらくキリスト教によく似た宗教でしょう。キリスト教によく似た宗教が「五大記」に登場する頻度が高いのは、私がキリスト教に好意を持っているからというのが最大の理由ですが、物語を作る人間に対して材料を提供する資源の豊富さという点に関してキリスト教は他の宗教を凌駕しているからという理由も、無視することはできません。

キリスト教聖典である「聖書」と呼ばれる書物の巻末には、「ヨハネの黙示録」という文書が置かれています。この文書が述べているのは、ハルマゲドン、千年王国の出現、最後の審判などの、キリスト教において世界の終末に起きるとされているさまざまな事象についての啓示です。「聖書」には、物語を作る上での材料として有益な文書が数多く含まれていますが、それらの中でも、「ヨハネの黙示録」の有益さは特筆に価するものです。

ヨハネの黙示録」は、キリスト教聖典である「聖書」に収録されているわけですから、その文書で述べられているハルマゲドンの勝者は、キリスト教を信じている者たちです。しかし、戦争においてどの陣営が勝者となるかということは、実際に戦ってみなければ判明しないことです。「ヨハネの黙示録」で述べられているとおりに事態が進行するかどうかは、ヤハウェにもキリストにも予測できないのではないかと思われます。

「五大記」第五十四話は、ハルマゲドンの経過が「ヨハネの黙示録」で述べられているものから大きく逸脱する物語です。ただし、「五大記」というのは我々の宇宙とは異なる宇宙を舞台とする物語ですので、第五十四話においてハルマゲドンについて述べている文書も、「ヨハネの黙示録」ではなく、それによく似た「終末書」という文書です。

果たして、「五大記」第五十四話が描くハルマゲドンは、神を崇拝する者たちの勝利によって幕を閉じるのでしょうか。それとも、神を崇拝しない者たちが神の計画を覆すのでしょうか。この先の展開につきましては、ぜひ、本編を読んで確かめていただきたいと思います。