「五大記」第五十九話を公開しました

五大記」の第五十九話を公開しました。タイトルは「追放」です。

「五大記」第五十九話には、二つの元ネタがあります。一つは「創世記」で、もう一つは「キューブ」という映画(監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ)です。

第五十九話が「創世記」から借用したのは、楽園追放の物語です。第五十九話の冒頭では、人間たちは、神が創造した楽園で暮らしています。しかし彼らは、神が定めた掟に背いたため、その楽園から追放されます。

第五十九話が「キューブ」から借用したのは、舞台の構造です。第五十九話の舞台となっている世界は、「キューブ」の舞台と同様に、三次元的に整然と並べられた立方体の区画から構成されている迷宮です。ただし、「キューブ」と第五十九話とでは、個々の区画の広さに大きな差があります。「キューブ」の区画の一辺は約4.2メートルですが、第五十九話の区画の一辺は、その10万倍もあります。

追放される前に人間たちが暮らしていた楽園は、迷宮を構成している区画の一つです。しかし、人間たちが楽園から追放されたのち、その区画は閉鎖され、そこへ戻ることはできません。楽園以外は、どの区画も人間にとって環境が過酷で、永住することは困難です。神は人間たちに、「この世界のどこかには、楽園ではないものの、ほとんどすべての人間が天寿を全うすることのできる環境を持つ区画が存在している」という啓示を授けます。

人間たちは、安住の地を求めて区画から区画へと移動を続けます。果たして人間たちは、安住の地にたどり着くことができるのでしょうか。それとも、それ以外の結末が人間たちを待ち受けているのでしょうか。この先の展開につきましては、ぜひ本編を読んで確かめていただきたいと思います。