「五大記」第三十八話を公開しました

五大記」の第三十八話を公開しました。タイトルは「申請」です。

「神学」と呼ばれる学問が存在します。それは、「神」と呼ばれる存在者についての学問で、人文科学の一分野とみなされています。しかし、神学は未来永劫に渡って人文科学の一分野であり続ける、と断言することはできません。なぜなら、もしも神を物理的に観測する手段が確立されたならば、その時点で、神学は人文科学から自然科学へ移籍することになるからです。しかし、残念なことに、神を物理的に観測する手段について研究している物理学者が存在するという話は、どこからも聞こえてきません。

「五大記」第三十八話の舞台となっているトメナマという国にも、「神学」と呼ばれる学問が存在しています。それは神々についての学問で、内省を探究の手段とするものです。しかし、トメナマでは、神を物理的に観測する手段が確立されたことに伴って、神学者たちの探究の手段は、内省から実験へと大きな転換を遂げることになります。彼らの実験は神学を飛躍的に進歩させるのですが、彼らはやがて、神学の実験に伴う危険性についても知ることになります。その危険性とは何かという点につきましては、ぜひ、本編を読んで確かめていただきたいと思います。