「五大記」第五十八話を公開しました

五大記」の第五十八話を公開しました。タイトルは「食材」です。

自分たち以外の世界に存在する知的種族と一度も出会ったことのない知的種族が、自分たち以外の世界に存在する知的種族と出会うことは、「ファーストコンタクト」と呼ばれます。多くのSFにおいて、ファーストコンタクトは主要なモチーフとして描かれてきました。そのようなSFのうちのいくつかは、地球人にとってのファーストコンタクトを、地球に対する異星人による侵略として描いています。このパターンに属するSFとしては、古いものではH・G・ウェルズの「宇宙戦争」、そして最近ではローランド・エメリッヒ脚本・監督の「インデペンデンス・デイ」などがよく知られています。

「五大記」第五十八話も、一方が他方を侵略するというパターンのファーストコンタクトを主要なモチーフとするSFです。この物語には、二つの知的種族が登場します。惑星ミラコマと惑星タキロガのそれぞれに住む種族です。この物語の中で彼らは出会うわけですが、どちらの種族も、それまでは自分たち以外の知的種族には出会ったことがありませんでした。つまり、この出会いは、双方にとってファーストコンタクトだったわけです。

ファーストコンタクトの時点で、ミラコマ人は、水力や火力の発電所を作る技術は持っていましたが、人工衛星を軌道に乗せる技術はまだ持っていませんでした。それに対して、タキロガ人は、光速を超える速度で航行する宇宙船を作る技術をすでに持っていました。しかし、ファーストコンタクトの時点では、タキロガ人には、惑星ミラコマを侵略する意思はありませんでした。

その後、それらの種族の間に利害関係が発生し、その結果としてタキロガ人は、惑星ミラコマを植民地として統治することとなります。ミラコマ人のうちで徹底抗戦を主張する者たちは、ミラコマ解放戦線と称する武装組織を結成して、タキロガ人による統治を終結させるための闘いに身を投じます。しかし、それぞれの種族が持つ軍事力の差は歴然としています。

果たして、ミラコマ解放戦線は、タキロガ人による統治を終結させることができるのでしょうか。それとも、タキロガ人によって壊滅に追い込まれるのでしょうか。この先の展開につきましては、ぜひ本編を読んで確かめていただきたいと思います。