「五大記」第三十九話を公開しました

五大記」の第三十九話を公開しました。タイトルは「廃棄」です。

カトリックというのは、遠目に見ると、厳格な教義に縛られていて融通が利かないようなイメージがありますが、実際にはけっこう懐の深い宗教で、末端の信者のレベルでは多神教的な信仰と共存していたりします。その顕著な例がマリア崇敬でしょう。マリア崇敬に関してはバチカンもかなり寛容で、マリアの出現のいくつかはバチカンによって公認されています。ヨハネ・パウロ二世は、マリアを厚く崇敬した教皇でした。1981年5月13日に暗殺者の凶弾に倒れた教皇は、奇跡的に一命を取り留めたのち、自分の命を救ってくれたのはファティマのマリアに違いないと確信します。そして翌年の5月13日にはファティマを訪問して彼女に感謝を捧げています。

しかし、カトリックにとってマリア崇敬の容認は、庇を貸して母屋を取られるかもしれない、きわめて危険な路線です。もしも、カトリックがマリアの出現を公認した場所に再び彼女が出現して、カトリックの正統的な教義から逸脱する教義を説き始めたならば、カトリックはいったいどう対処するのでしょうか。

「五大記」第三十九話は、ルルドやファティマにマリアが再び出現して、カトリックとは異なる教義を説き始める、という物語です。ただし、「五大記」というのは私たちの宇宙とは異なる別の宇宙で起きた物語ですので、第三十九話に登場する惑星は私たちの地球ではありませんし、人々が崇敬する聖母もマリアではありません。